北海道農業近代化協会が設立されたのは、昭和43年2月である。
北海道における各種作物に対する紙筒及びその関連機具資材の利用に関する基礎条件の確立、その普及推進を行い、北海道農業近代化に寄与する目的として、紙筒及びその関連機具資材の関係会社が構成会員となりスタートしている。
紙筒移植は水稲・タマネギで技術開発の先鞭をつけ、先導的役割を果たしてきた。しかし後発の大手農業機械メーカーの資金力、営業力、技術力に屈してきたのが歴史である。紙筒にはいろんな特徴があり、健苗移植では他の追随を許さないとしても、一般的には省力性には欠けると言われる。とは言え、てん菜移植のように紙筒の特長が生かされ、精度、能率共に世界的技術として評価されているものがある。チェーンポット移植もロングピッチが開発されて、紙筒なるが故に簡易省力移植法として確固たる地位を築きつつある。紙筒は万能ではないとしても、その特徴を生かすことにおいて君臨できる世界が無い訳ではない。
紙筒移植栽培技術は世界唯一であり、世界に誇れる技術である。これを大きく発展させて農業の技術進歩に貢献できるものである。紙筒はてん菜に端を発したが、てん菜に限らず各作物に発展し、その特異な存在が評価される。特徴をどの様に生かすか、よりその技術を世に広められるか、協会の果たすべき役割はこれからも大きいと考える。
北海道農業近代化協会35年史より (著 村井信仁)